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alea jacta est

January 01, 2011

そもそも「翻訳の質」というのは本質ではないし

あけましておめでとうございます。

締まらないまま昨年のメモのつづき

どこそこの訳は質が悪いとかいいとかいう話は以前からあったと思うのだけど、いかに訳が忠実でも原文次第で悪文意味不明になり得ることを考えると、買ったプレイヤーが幸せになるための、「いい翻訳ルール」の条件として「翻訳の質が高いこと」は、必要条件の一つに過ぎない。本質から遠いと私は思う。

意味がわかりやすければいいのなら、原文無視の「超訳」のほうがいいわけだし。

実際、「超訳」でも補足的にチャートを入れたりしているアークライトのルールなど、私は「好き」の部類に入れる。

「ルールがわかりづらい」とは、何を意味しているか、症例を考えてみる。

  • 途中途中で思い出したように新しい言葉が出てくる。
  • 指示代名詞が複数出てきて、何が何を指しているのかわからない。
  • 手順だけがダラダラと書かれていて、頭にサマリーがない。
  • 構成が不明。読み手にどういうスキームを理解させたいのかわからない。

これらは「悪文」と呼ばれるものの典型的な症状とも言えるわけですが、悪文なのは別に訳の問題ではないし、こういう悪文を「わかるように」翻訳するほうが難しそう。

要件は「世の中にもっとわかりやすい翻訳ルールを増やす」

要件が「世の中にもっとわかりやすい翻訳ルールを増やす」だとするなら「ルール訳を頑張る」以外に、もっと本質に近い解決案はあるんじゃないのかしら。

たとえば、ターミノロジー、文章構成に関して規約を設けて、この規約に添う形になるように「超訳」するとか。

技術文書とか、may,can,shouldの使い方が、ちゃんと決まってるじゃないですか。

ボドゲのルールでは、それらははたしてどれくらいstrictに書かれているのか。

元ルールが英語だと、私なんかもプレイ中に質問受けたら、原文参照して「えーと、そこはですね……あ、はい、"players can.."ってありますので、してもしなくてもいいって意味だと思います」とか、さも真理を発掘したように言ったりする。

でも、翻訳ルールの言語運用には文句言うのに、ネイティブの言語運用に何の疑問も抱かないというのは、ちょっとおかしい。原文ルールは100%論理的な言語で書かれていると、無意識に信じているふしがある。

「ちゃんとした訳」への根拠のない信頼っていうのは、そのあたりからも出てきてるんじゃないだろうか。

助動詞などの語義に限った話ではなく、たとえば「フェーズ」っていう言葉を使ったとき、それはこのゲームでは何を意味するのか…あたりまで広げると、曖昧になってくる。

「ステージ」「ラウンド」「ターン」「フェーズ」みたいなものの使い方がゲームごとにバラバラだったり、書き出しに梗概を書かずいきなり「プレイヤーにお金を配ります。そして…」みたいな悪文だったりするものを、どんだけ忠実にきれいに訳そうと頑張っても、訳者の名前を貼り付けて訳に緊張感(わらい)を持たせても、それは限界があるんじゃないでしょうかね。少なくともプレイヤーはあんまり幸せになれない。

「超訳」と原文の権利関係が微妙だが、しかしそれは今のショップ訳だって、翻訳の契約を結んでいるわけではないのだし…よくわかんない。

問題点

超訳ルール、オレオレ用語で訳したものに慣れると、後で困ることもあるかも。拡張の英語版買ってみたけど全然言葉が違ってた…! とか。

追記

nemmyさん bookmarked:

http://www.tgiw.info/etc/translation.html

「翻訳の質」っていう問題意識からだと、「てにをは」レベルの話で終わるし、翻訳者がdisられるのもそのレベルの話なんだよなーと思ってます。

rAdioさん bookmarked:

「D・T・D!D・T・D!」

そうか、DTD……! 一行で言えてしまった。